プロボノ事例、支援の経緯


【連続投稿58日目】

 

昨日に引き続き、調査論文からの抜粋です。

RAKUZEN支援初期からの経緯を綴っています。

 

https://www.j-smeca.jp/

 

①初期:距離のある関係

平成26年8月にキックオフを行った。RAKUZENからの要望は、認知度向上と販路拡大だった。香港やシンガポールで開催される展示会に出展するためのパンフレット英訳支援を手始めに、 Facebook開設、漆器に関するアンケート調査などをメールベースで行った。
②中期:距離が縮まった時期
平成27年オズマガジンがRAKUZENを取材したいと、Google経由で話が来た。現地の取材に同行しそこで初めて代表の大竹さんにお会いした。工房なども見学させていただき実際に楽膳椀が作られている様子や、作成に携わっている方々を拝見し、改めて支援していく想いがメンバーの間で高まった。


その後、大竹さんが展示会や販促会へ出店するために上京する際に 、打ち合わせをする機会が増えた。また、展示会情報のSNSでの拡散、支援メンバーが展示会に訪問し、その状況をFaceboo kに投稿するなど、認知度向上のための細かい支援を積み重ねてい った。


平成28年にはホームページをリニューアルするため、web制作に強いKSF会員が支援メンバーに加入することとなった。 ホームページ分析を行い、どのようにリニューアルすべきか、また 今後の支援の方向性について話し合うために、2度目の福島訪問を行った。


そこでは、ホームページの具体的なリニューアルアイデアを出し合ったほか、費用負担軽減のために小規模事業者持続化補助金を活用 することとなり、帰京後申請支援を行った。なお、訪問した晩には 大竹さんを交えて、郷土料理のお店で地酒を堪能したことは良い思 い出である。


③現在:支援体制再構築と信頼関係深化
平成29年、大竹さんおよび支援メンバーにとって大きな転機が訪れた。先述した通りイノベーション東北プロジェクトが終了したのである。本来であれば、その段階でRAKUZEN支援も終了となるはずだった。しかし、キックオフから3年間で構築された大竹さ んと支援メンバーとの信頼関係、まだまだ道半ばの支援で、ここでやめたくない診断士の熱い思いにより、継続して大竹さんを支援することで双方合意した。


一方で、大竹さんが身近に定期的に相談できる相手として、福島県よろず支援拠点を利用することとなった。
よろず支援拠点とKSF支援をどのようにすみ分けするか、大竹さんが上京するタイミングで打ち合わせを行った。経営面では福島県よろず支援拠点、東京での販路拡大支援の受け皿として我々が対応することとなった。


大竹さんの事業内容も、徐々に変化している。楽膳椀の販売を軸としながらも、デザイナーという強みを生かして、福島県産の桃のパ ッケージや甘酒のロゴデザインなどを手掛けている。なお、 甘酒のロゴデザインを仲介したのは、KSF支援メンバーである。

また、古くなった漆器を大竹さんのデザインを生かしてリペアする事業提案を行い、 ふくしまベンチャーアワード特別賞を受賞している。
最近では、和装関係の女性創業者とコラボレーションし、着物を着て楽膳椀で日本酒や和食を楽しむイベントも行っている。少しでも 多くの方に漆器を体験してほしいという大竹さんの想いを形にするために、こうしたイベントの企画、運営も支援メンバーが行ってい る。