読書会で「ペスト」を読んだ。実存主義とサルトルと、一隅を照らす。

【連続投稿403日目】

 

ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもないものであり、数十年の間、家具や下着類の中に眠りつつ生存することができ、部屋や穴倉やトランクやハンカチや反古のなかに、しんぼう強く待ち続けていて、そしておそらくはいつか、人間に不幸と教訓をもたらすために、ペストが再びその鼠どもを呼びさまし、どこかの幸福な都市に彼らを死なせに差し向ける日が来るであろう」(「ペスト」カミュ 宮崎峯雄訳 新潮文庫 1969年)

 

昨日は、読書会でした。課題図書は「ペスト」。新型コロナウイルス感染拡大のさなかだからこそ、読むべき本です。

 

この本において、ペストとはあくまでも象徴的なものとして書かれており、他の事象に置き換えてもこの本はしっかりと読むことができます。

 

不条理を描いた本であり、哲学めいています。不条理の環境の中においては、人は自らができることは何か考えて、行動していく。まさに「一隅を照らす」。そこに希望があることを示しています。

 

だからこそ、発売当初はナチスとの戦いを根底に置いた話として共感を得た小説ではあったが、その普遍性ゆえ、現代でも読み継がれているのだと思います。

 

ちなみにカミュは、不条理な英雄として「シーシュポスの神話」を描いています。

 

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以前読書会で取り上げた「武器になる哲学」(山口周 KADOKAWA 2018年)に、サルトルの「アンガージュマン」が掲載されていました。

昨日の読書会でも、カミュ実存主義であることから、上述した本のアンガージュマンに話題が飛びました。

 

簡単にアンガージュマンを説明しますと、

「状況に自らかかわることにより、歴史を意味づける自由な主体として生きること。サルトルカミュなどでは、さらに政治的・社会的参加、態度決定の意味をもつ。」ことです(wikipediaより)。

 

一隅を照らす、と実存主義と、アンガージュマンが「ペスト」でつながりました。

様々な知識がつながる読書会、今後も続けていきたいものです。