【連続投稿701日目】
「問いのデザイン」(安斎勇樹 塩瀬隆之著 学芸出版社 2020年)。
工学部を卒業された技術者のお二人が書いたファシリテーションの本です。理路整然と分析された本となっており、読みやすくかつ考えさせられます。
第1章 問いのデザインとは何か
第2章 問題を捉えなおす考え方
第3章 課題を定義する手順
第4章 ワークショップのデザイン
第5章 ファシリテーションの技法
第6章 企業、地域、学校の課題を解決する
全6章となっていますが、章立てを見るだけでもファシリテーションの流れがつかめます。全体を俯瞰し、分解し、定義し、議論していく。
この本で「問い」は以下のように定義されています。
人々が創造的対話を通して認識と関係性を編み直すための媒体
創造的対話を促すトリガーとなるのが「問い」。それは問う側も問われる側も答えを知らないもの。
ファシリテートすることが多いのですが、この創造的対話を促す問いかけはいつも悩みます。この本からヒントを得たのは、問いの深さです。
・問うためにどれだけの視点が関わるか
・人によって出す答えがどれだけ多様になるか
・仮の答えを出すためにどれだけ時間が必要か
深堀すぐにあたり、この本でも因数分解が紹介されていました。複数の要因が混ざった問いは因数分解しないと方向性が定まらない。
例えば「高齢者の健康を支える朝食メニューとは?」という問いかけ。
このまま議論しようとしても深まりませんよね。
・高齢者とは?
・健康とは?
・朝食メニューとは?
それぞれの要因に分解して定義しないと本質的な議論にはなっていきません。
そして、もう一つ得られたヒント。それは発言していない人を「静かな変革者」と前向きにとらえ、この人を以下に発言してもらうかそれがファシリテーターの技量だ、と言っている点です。
確かに発言していない人は、不満があるのか、不安なのか。何かモヤモヤを抱えているのかもしれません。その方を発言してもらうために、ファシリテーターは味方になる。安心していいんだよと、安心感を与える。そうした働きかけ、場づくりが大切なんだと改めて認識しました。
早速実践してみようと思います。