【連続投稿802日目】
この言葉を初めて身近に感じたのは、稲森和夫の著書「生き方」を読んでからでした。
稲森和夫は、事業活動においては、誰から見ても正しい方法で利益追求するべきだ。最終目的はあくまでもも社会のためにおこなうこと。取引先、お客様、地域、社会すべてのステークホルダーの利益に貢献することを考えること。と説いていました。
利他。
昨日、「利他とは何か」を課題本として読書会を行いました。
美学者、政治学者、批評家、哲学者、小説家がそれぞれの専門分野の観点から、利他について語る本。
東京工業大学の研究拠点「未来の人類研究センター」で共同研究しているメンバーが集まって論じている内容です。
・完全に見返りを求めない、マザーテレサのような振る舞いができる人がどれほどいるのか。そこまで行くともう神の領域ではないか。
・無意識に利他的な行為を行うことがある一方で、計算している自分もいる。利他的な行動の結果、感謝の言葉に喜ぶことは、見返りを求めていることになるのではないか。
・見返りを求めるのがそんなに悪いことなのか?
・親が子供に対して無償の愛を注ぐのと、利他とはどう違うのか。
・利他の気持ちを高めすぎると、その他のものを排除してしまうことにならないか。
・自ずから自然と出てくるものが利他ではないか。
・芸術では、美しいものを作ろうとすると、美が逃げていくという。ここにも「自ずから」自然と行う行為なのではないか。
など、様々な意見が出てきました。もちろん何か結論を出したわけではなく、意見は拡散したまま終わりました。それが狙いでしたので。
本書の冒頭に書かれている通り、「思考の出発点」にすぎません。これを読んでもやもや感を大いに感じてほしいものです。そのもやもや感を抱えながら生活することで、自分なりの利他に対するスタンス、考え方、そして行動が生まれてくるのだと思います。
かなり骨太の本でしたが、今までの利他でも、十分良いのだ、と感じることができました。