「日本のいちばん長い日」で読書会開催。

【連続投稿885日目】

 

おそらく、このタイトルに偽りはないのではないか。そう思わせるほど時間単位で様々な人の思惑が交差し、ぶつかり合った一日だったのだろうと思います。

 

「日本のいちばん長い日」(半藤一利著 文春文庫 2006年)を課題図書として読書会を開催しました。

https://www.amazon.co.jp/%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E7%89%88-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%81%84%E3%81%A1%E3%81%B0%E3%82%93%E9%95%B7%E3%81%84%E6%97%A5-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%8D%8A%E8%97%A4-%E4%B8%80%E5%88%A9/dp/4167483157

 

もともとは、昭和40年、終戦からたった20年後に、大宅壮一が中心となって刊行された本となります。20年しか過ぎていない状況で、よくぞここまで掘り起こしてくれたと思える内容です。

 

読書会で出た感想です。

・国体とは何か。宗教的なものではないか。宗教の原理主義者のように軍部のエリートは信じ込んでいたのか。

 

・しかし、今でいう中学生から大学卒業まで、陸軍のエリートは軍隊に染まる。ひとつのことを徹底的に信じ込むには十分な時間。それだけ思想が純粋培養されている。

 

・幕末の尊王攘夷と似ている。武士道的な考えは明治維新から終戦まで全く変わっていない。

 

・陸軍将校は、本気で一億玉砕、本土決戦すれば何となると思い込んでいたのか。

 

天皇陛下の真意はどうだったのだろうか?

 

今の価値観で当時の状況を判断することはできませんし、歴史を語るならそれをやってはいけない。これは塩野七生をはっきりと言っています。ただ時間軸だけでなく、価値観までも調整することはなかなか容易ではありません。それでもなお、さまざまな疑問が浮かんできます。

 

ひとつ言えるのは、戦後20年でこれだけのことを書き上げた根底には、記憶を風化させることなく、何が起きたかを明確にして、後世に語り継いでいく使命感。

 

風化させず語り継いでいく意識が、最近薄まっているのではないでしょうか。