【連続投稿885日目】
おそらく、このタイトルに偽りはないのではないか。そう思わせるほど時間単位で様々な人の思惑が交差し、ぶつかり合った一日だったのだろうと思います。
「日本のいちばん長い日」(半藤一利著 文春文庫 2006年)を課題図書として読書会を開催しました。
もともとは、昭和40年、終戦からたった20年後に、大宅壮一が中心となって刊行された本となります。20年しか過ぎていない状況で、よくぞここまで掘り起こしてくれたと思える内容です。
読書会で出た感想です。
・国体とは何か。宗教的なものではないか。宗教の原理主義者のように軍部のエリートは信じ込んでいたのか。
・しかし、今でいう中学生から大学卒業まで、陸軍のエリートは軍隊に染まる。ひとつのことを徹底的に信じ込むには十分な時間。それだけ思想が純粋培養されている。
・幕末の尊王攘夷と似ている。武士道的な考えは明治維新から終戦まで全く変わっていない。
・陸軍将校は、本気で一億玉砕、本土決戦すれば何となると思い込んでいたのか。
・天皇陛下の真意はどうだったのだろうか?
今の価値観で当時の状況を判断することはできませんし、歴史を語るならそれをやってはいけない。これは塩野七生をはっきりと言っています。ただ時間軸だけでなく、価値観までも調整することはなかなか容易ではありません。それでもなお、さまざまな疑問が浮かんできます。
ひとつ言えるのは、戦後20年でこれだけのことを書き上げた根底には、記憶を風化させることなく、何が起きたかを明確にして、後世に語り継いでいく使命感。
風化させず語り継いでいく意識が、最近薄まっているのではないでしょうか。