平衡感覚を持っていますか。

【連続投稿886日目】

 

「今日の日本および日本人にとって、いちばん大切なものは”平衡感覚”によって復元力を見つけることではないかと思う」

 

実はこの文章、1965年(昭和40年)に書かれたものです。著者は大宅壮一

 

「内外情勢の変化によって、右に左に、大きく揺れるということは、やむを得ない。ただ、適当な時期に並行を取り戻すことができるか、出来ないかによって、民族の、あるいは個人の運命が決まるのではあるまいか。」

 

少なくとも明治維新から敗戦までの期間には、この平衡感覚による復元力があった、と述べています。

 

それから60年弱。平衡感覚が発揮されたのが今回の東京オリンピック開催までの経緯ではないでしょうか。開催直前までトラブルが起きて中止、無観客をはじめ反対の声が渦巻いていました。しかし始まるとバランスが取れたかのようにいったん平衡になり、終わったらまた振り子が暴れだした。

 

日本人のバランス力は、同調圧力とも言い換えられるかもしれません。集団による空気で物事が決まってしまう風潮。これが良いほうに働く時は、高度成長のようにものすごい威力を発揮します。しかし衰退期になれば、遠心力が働いてしまい、なかなか平衡になれない。

 

60年前に指摘した、日本人の平衡感覚。SNSで右左が簡単に分断される現代において、改めてその意味を考えてみたいと思いました。