本屋大賞発掘本大賞を読んでみた。

【連続投稿1130日目】

 

最近存在感を増している本屋大賞。この中にはいくつかの部門があることをご存じでしたでしょうか。発掘部門、翻訳小説部門、ノンフィクション部門です。

 

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2022年の発掘本大賞に選ばれたのが「破船」(吉村昭 新潮社 1985年)。

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今回読んでみました。

さすが吉村昭だけに、淡々と話が進んでいきます。事実を客観視するような、定点カメラで村の様子や四季の移り変わりを冷静に描写しています。その分、貧乏な生活や不幸がより際立ちます。

 

集団が閉鎖された状態で生活すると、独自の文化が醸成されていきます。それが一般的に考えてモラルに反しているとしても、集団が生き延びていくための習わしであれば、正当化される。集団が存続するためなら、そこに疑問を挟むことはない。不測の事態など発生しない前提の生き方です。

しかし、外部環境の変化には非常にもろい。不測の事態が発生した時に立ち行かなくなります。

 

新型コロナの感染拡大初期、カミュの「ペスト」が広く読まれました。実はこの本も不測の事態に直面した時どのように対応をすればよいのか、深く考えることができる一冊です。

 

おそらく発掘本に選ばれなければ、手に取ることもなかったでしょう。

 

個人的に、2022年トップ10に入ること間違いなし、の一冊です。