【連続投稿1257日目】
読書会の課題図書として、「不寛容論」(森本あんり著 新潮選書 2020年)を読みました。要約は以下がわかりやすいです。
コロナ禍で拡大した不寛容がはびこる世の中にあって、どのように寛容になればいいのか。17世紀初頭アメリカ新大陸を開拓した人物を題材としながら、寛容とは、を考察していく本です。
・争いを避けるためのテクニックが寛容。中世では大きな悪を避けるためには小さな悪は是認する。
・嫌いでも礼節は必要。それが寛容のスタンス。
・寛容であるべき。といったべき論には危うさがあるように感じる。義務感で寛容な心が持てるのか。
・そもそも人は不寛容であることを受け入れても良いのでは。自分が信じていることを大事に思うのと同様、他の人も同じように信じているものがあるはず。それを認めることが重要。その根底が礼節。
寛容であるために礼節が必要。この観点はなるほどと思いました。匿名性を利用したSNSでは礼節のかけらもありません。だからこそ議論が両極端になってしまう。それをストレスのはけ口にしてしまうほどに、何か病んでしまっているように思ってなりません。
寛容であるべき。といった窮屈なべき論から一度離れて、人はそもそも不寛容。ではどうするか。から考えることで答えが見えてくるのかなと感じました。