夏目漱石の講演集を読んでいます。

【連続投稿1496日目】

 

文学作品の印象が強くそのほかのことをあまり知らなかった夏目漱石明治44年から大将3年までの講演集「私の個人主義」(講談社学術文庫 1978年)を読んでいます。

 

講演をそのまま文字に起こしたので、その場の熱気や息遣いが伝わってきます。5つの講演が収められていますが、いずれも45歳を過ぎた後の講演。漱石は50歳で持病の胃潰瘍が悪化して亡くなっています。講演中にも病気療養したエピソードが盛り込まれています。

 

本のタイトルにもなっている「私の個人主義」。「みんな向こう(西洋)の人がとやかくいうので日本人もその尻馬に乗って騒ぐのです。(中略)何でも蚊でも(本文ママ)盲従して威張ったものです」との一節があります。西洋が良いことは何でもよいことだ、との風潮に警鐘を鳴らしています。では、どうすればよいのか、その点についてはこれから読んでいき、感想は改めて書きます。

 

総じて言えることは、講演家としても面白いということ。話が行ったり来たりしながらもしっかりと帰結させている。知的好奇心をくすぐってきます。リアルで聞いてみたいなと思わせます。