「思考の整理学」を読んで考えたこと。

【連続投稿545日目】

 

帯のコピーがが気に入らないので、手に取らない。こうして読まず嫌いになってしまう本があります。特に「東大・京大で一番読まれた本」なんて、あまのじゃくな私にとっては最も避けたいコピーです。

 

それでも読書会の課題図書として自ら選んだので、今回初めて読みました。

「思考の整理学」。2020年7月30日、享年96歳で死去した外山滋比古さんの追悼の意味も込めて選書しました。

 

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まずこの本が出版されたのが1983年。37年前の事実に驚きます。アナログ的な思考整理法をデジタルに置き換えて、コンピュータをAIに変えたら、現代でも全くそのまま通じる内容です。

また、37円前から警鐘を鳴らしている受け身の知識偏重型教育から自ら考えて行動する飛行機型への転換。その当時から何も変わっていないのでは、と思わずにいられませんでした。著書で批判しているグライダー型人間の象徴でもある東大、京大で一番売れたという皮肉は置いておきます。

 

またこの当時から、人と人との触媒やセレンディピティをもたらす「弱き紐帯」の重要性を訴えています。つまりはサードプレイスです。

 

読書法にしても、読んで終わりではなく、そこから自分なりに解釈して行動する「汗のにおいのする思考」と表現して、その大切さを訴えています。

 

おそらく現代ナイズされた内容にすれば「コロナ時代を生き抜く思考法」などといったタイトルで出版されてもおかしくはないでしょう。

 

しかし突き詰めていけば、結局は「思考を整理すること」なんですね。

ちなみに、製造現場でよく使われる改善手法に5Sがあります。整理、整頓、清掃、清潔、躾。それぞれの頭文字を取って5Sと称しています。

最初の「整理」は、いるものといらないものを分けて、いらないものは「捨てる」。

「思考の整理学」でも、すてる、忘れることで脳が新陳代謝されると書かれています。

知識を定期的に棚卸することで新陳代謝し、新しい発想を生み出すための方法論として

古典となっている理由がよくわかりました。

 

改めて、読まず嫌いはよくない、と反省する次第です。