歴史を語るうえで守るべき姿勢とは

【連続投稿913日目】

 

「それでも日本人は戦争を選んだ」(加藤陽子著 新潮文庫 2016年)

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東大教授の加藤陽子さんが、栄光学園の生徒に日清戦争から太平洋戦争終結までの大きな流れを語る本です。

栄光学園は中1から高2までの歴史研究部を中心とした生徒。

 

加藤さんは、国内外様々な一次資料を紹介し、ディテールを積み上げて歴史の大きなうねりを語ります。民間人の日記だったり、郷土史だったり。有名人がやり取りしている手紙だったり。

 

こうしたことを丁寧に積み上げ、その当時の価値観を紹介し、歴史に寄り添おうとする重厚な授業。決して受験勉強のための日本史ではない、歴史とは何か、歴史を学ぶ上での思考法を教えるような授業。

 

それについていく栄光学園の生徒のレベルも高いですが、そのやりとりを楽しんでいる加藤さんの教え方もすばらしい。

 

塩野七生も言っていました。「歴史は人のふるまい。だからローマの物語ではなく、ローマ人の物語とタイトルにつけた」

 

その当時の価値観や考え方にいかに近づけられるか。それが歴史を学ぶ上で必要な姿勢なんだと、改めて感じた本でした。決して、今の価値観と先入観で歴史を語ってはいけない。それは歴史好きとして肝に銘じておきたいと思います。