原発事故と真摯に向き合う官僚のお話

【連続投稿712日目】

 

廃炉。30-40年を要する巨大プロジェクト。

福島第一原発では、膨大な時間と費用をかけてそのプロジェクトに取り組んでいます。

廃炉に携わる方々の仕事への思いをつづったこちらを読みました。

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全部で7章。官僚、技術者、バックヤード、学生、東電職員の観点から廃炉に対する思い、通称「エフイチ」で働く意味を、淡々とした筆で描いています。

 

第1章の「福島にとどまり続けるある官僚の決意」では、昨年福島関連のオンラインイベントでお知り合いになり、その後もイベントがあるたびに顔を合わせる(もちろんzoom上ですが)経済産業省のキャリア官僚が登場します。

 

その方は、少年時代、公民館で「はだしのゲン」の実写映画を見て衝撃を受けたのが、原子力に興味を持つきっかけ。その後工学部に進学し原子力工学を学びます。3.11時は

さいたま新都心原子力安全・保安院で働いていたそうです。事故対応を担う産業規制の部署でした。

東日本大震災で、原子力災害の様相を呈することが決定的となり、すぐに現地に派遣されます。

現地で感じた国に対する不信感、しかしご自身が国を代表して地元と交渉にあたるジレンマ。国の組織で働く苦悩が、にじみ出てくる章です。

 

木野正登さん。

 

2013年11月2日の朝日新聞「ひと」欄にも紹介されたことがあるそうです。

 

現地に行って、一度じっくりとお話を伺いたい。そう思わせてくれる本です。