本の選び方

【連続投稿842日目】

 

年間150冊近い本を読むと自己紹介で話すと、どのようにして本を選ぶんですかとよく質問されます。大きく分けると2パターンあります。

1つめの方法です。「この本面白かったですよ。これはおススメですよ。」と紹介された本は、その場ですぐにAmazonで検索します。よほどのことがない限り即購入します。人に本を紹介する方は本好きの方が多く、そうした方が紹介する本は、自分が読んだことがない領域ばかりで刺激を受けます。であれば、これは読まずにはいられない。そういった本に、間違いはないと思っています。

もう1つは、まとめ読みです。作家や時期、ジャンルでまとめて読みます。作家の例でいえば川上未映子。もともとは村上春樹との対談集「みみずくは黄昏に飛び立つ」を読んでからファンになりました。その後「乳と卵」「全て真夜中の恋人」「六つの星星」を味わい、その世界を堪能しました。

原田マハなら、「ジヴェルニーの食卓」を皮切に「暗幕のゲルニカ」「たゆたえども沈まず」「楽園のカンヴァス」「サロメ」「太陽の棘」。絵画物を読んだ後に「本日は、お日柄もよく」や「生きるぼくら」といった青春、感動もので締めました。もちろんそこで終わりではなくある程度時間をおいてから、思い出したときに「風のマジム」「奇跡の人」「デトロイト美術館の奇跡」などを手に取りました。今は、原田マハの世界を熟成させている時期です。

ジャンルでいくと、時期とテーマで分かれます。2019年8月は、終戦に関連して「失敗の本質」「野火」「雲の墓標」「昭和16年夏の敗戦」「原爆 私たちは何も知らなかった」を読みました。「本屋」をテーマにして「まちの本屋」「もういちど、本屋へようこそ」「わざわざ行きたい街の本屋さん」「本と店主」「拝啓、本が売れません」「本屋、はじめました」で日頃見ることがない本屋の裏側を楽しみました。

その時々で変わりますが、おおむねこのパターンで本を選んでいます。「世の中にいろんな食べ物があるように、本は食べてみないとわからない。毎日毎日、すごい数の本が街の書店に並び、図書館にもすごい数の本があるけれど、世界中の食材と料理の数を見て、その数に驚いて食べるのをやめる人がいないように、本と接するというのは、とてもフィジカルなことなんです。(中略)だから読書も「食読」のようなものなんです」(「多読術」松岡正剛 2009年 ちくまプリマ―新書)。

読書を食事ととらえるこの表現には、唸ってしまいました。確かに数多ある食材を目の前にしても、拒絶反応は起きません。むしろどれも食べたくなってしまうものですよね。本も同じ。この領域は苦手だからと言って手に取ろうとしないのは非常にもったいない。

今までの自分はそうした傾向にあったので、今年は「今まで読んだことがない作家の本を読む」ことを目標に掲げています。

読書=量×質に分解されます。

量=読んだ冊数×1冊を繰り返し読んだ回数

質=ジャンルの幅×一つのジャンルの深さ

様々な料理を食わず嫌いせずに食べる、というと大げさですが「食読」というからには、食わず嫌いにだけはならないようにしたいものです。

皆様の読書生活に少しでもご参考になれば幸いです。