夏休みに読んだ本のご紹介

【連続投稿514日目】

お盆休みが明けて今日から本格的に仕事が始まる方も多いのではないでしょうか。
今年の夏休みは、いつもとちょっと違った過ごし方でした。コロナに加えて、危険な暑さで外出を避けたためでもあります。コロナだけでも気分的になかなか外出する気にもならなかったのに、さすがにこの暑さでは。。。

家に籠ってだたひたすら読書をしていました。

晴耕雨読、ならぬ「晴読雨読」晴れても雨でも本を読んでいました 。

 

なかなかまとまった時間が取れない日々の中で、これだけ読書に専 念できた時間は本当に久しぶりでした。感銘を受けた1冊を紹介します。

流れる星は生きている」(藤原てい 中公文庫 2002年)。

 

終戦後、満州から日本へ引き上げる1年にわたる決死行を描いた記 録です。著者は作家新田次郎の妻であり数学者であり「国家の品格」でも有名な藤原正彦氏の母でもありま す。

夫と引き裂かれて、女手ひとつで幼児3人を連れての引き上げ行。 生きるために、子どもを死なせないために何としても日本へ帰るために恥を捨て、プライドを捨てる。ある意 味戦争が終わってから始まった、たったひとりのもう一つの戦争。

日本に帰ってきてからも続く誹謗中傷。ようやく長野県の実家につ いて初めて得られた安息。

8月15日が終戦とはいえ、引揚者の記録を読むと本当の終戦は果 たしていつなのか、わからなくなってしまいます。少なくとも藤原ていさんにとっては、1年後、実家にたどり着いた 時までは戦いが続いていたわけです。

こうした記録も後世に残していかなければいけないと考えた本でした。