寛容と不寛容

【連続投稿1245日目】

 

最近「不寛容論」(森本あんり著 新潮社 2020年)を読み始めました。

このご時世、SNSを中心として人の意見を認めないばかりか、過激に反応する状況に対して、じっくりと考えてみたいと考えたからです。

アメリカ新大陸開拓時代を生きたロジャー・ウィリアムズ(1603年頃~1683年)の生涯を通して寛容とは何かを問いかけます。

内容がなかなか骨太ですので、流し読みするわけにもいかず290ページの分量に、ページが進みません。

 

宗教的な背景から、教義に反するのか、どのように整合性を取るのか、解釈論から生まれたような「寛容」の考え方。中世では「基本的に悪であることに変わりはないが、より大きな悪を防ぐという比較の観点から容認」されたもの。と言った捉え方をしています。

 

自分が無関心のものについては、寛容や不寛容とはなりえず、「無寛容」の状態。しかしちょっとしたきっかけで「不寛容」に転じることがある。特に日本はそれが顕著。

ただ本書は決して日本を否定する本ではありません。我々が持っている考え方を、歴史的な流れから改めて位置づけする。不寛容に容易に転化しないように意識することを目的としています。

 

こうした哲学的な本は、日頃忙しくてじっくり考えることができない物事に対して、自分自身の考え方、置かれた状況を俯瞰的に捉えることができます。それが栄養となり日頃のふるまいに影響を与えるようになれば、決して無駄ではありません。もちろんすぐに効果が出るものではありません。でも、それが読書なんです。