仕事とペイフォワード

【連続投稿1177日目】

 

自分が携わっている仕事が、本当にやりたいことなのか。

 

働いていると、多くの人が一度ならずとも考えた経験があるのではないでしょうか。答えが見つからずに悶々としながら仕事をしていることはありませんか。

 

「今やっている仕事が本当に価値があるかどうかを判断する方法は、仮に社会からお金がなくなり、その仕事によって報酬が得られないとしても、自分がその仕事をすべきだと思うかどうかです」(「お金のいらない国」 長嶋龍人 『地球村』出版 2003年)。

 

仕事の対価として、お金がもらえなかったとしても今の仕事をしますか?直球で訴えかけるこの本、短編でしかも難しい表現は一切使わないため非常に読みやすいです。が、仕事とお金に対する真理を突いていて、大いに考えさせられます。

 

お金のいらない国。レストランで食べても飲んでも、タダ。美術館やコンサートに行ってもタダ。そんな生活を満喫する主人公。しかしある時気づきます。「こんなふうに自分が遊んで暮らしていられるのも、皆が働いてくれているからなんだなあ。みんなが私のように遊んでいたら、だもこんな生活はできないんだ。それに私は今、この社会のために全然、役に立っていない。ちょっと申し訳ないなあ。」「自分も奉仕されているんだから、何かみんなの役に立てそうなことをしなきゃいけないかな」

 

お金が存在しなくても、今我々が享受できているサービスをそのまま受け取ることができる。これは、社会に対する無償の奉仕や何かしら社会に役立ちたい気持ちが動機となって、人が仕事をしているからこそ成り立ちます。つまりこの主人公は負い目を持っているのです。これを「ゆっくり、いそげ」(影山知明 大和書房 2015年)では「健全な負債感」と言っています。主人公は日常生活すべてで社会から恩を受け、それに対して負債感を感じたのです。

 

これこそ恩送り、ペイフォワードなのです。

 

こうやって考えたら、今の仕事に対する考え方が変わりそうですね。