おススメの本と言えば、これです。

【連続投稿597日目】

 

 

座右の書は必ずしも1冊である必要はありません。お勧めの本は何ですかと聞かれた時紹介するのは、むしろ別の本だったりします。

ローマ人の物語」。塩野七生が1年に1冊ずつ15年かけて執筆した、ローマの歴史小説。紀元前8世紀ローマが始まったエピソードから、西ローマ帝国が滅びる紀元後5世紀まで。人生の誕生から成長、死に至るまでのごとく見事に描いています。

 

そもそも執筆のきっかけは、塩野七生が大好きだったユリウス・カエサルを書きたかったからだそうです。しかし彼を書こうとしたら、カエサルがなぜ国のありようを改革しようとしたのか。変えたかった国はどのようになり、そして終わっていったのか。まで書かなければならない。であるならば、ローマがどのようにして生まれ、成長し、衰退していったのかを書かなければ、本当にカエサルを書いたとは言えない。と考えたから。

 

そして、「ローマ人の物語」と題しているように、ローマ人が何を思い、何を考え、どう行動したか。人に焦点を当てている点。だからこそ政治、経済、社会、文化、インフラ、通貨。そうした人々の生活に密着した話題がふんだんに盛り込まれています。歴史だけでなく、上記の様々な視点も学ぶことができる。それが本書です。

 

ひとつ、ご注意。

塩野七生は、本人も自認しているとおり、悪文です。その点読みにくい部分はあるかもしれませんが、それもまた味わい深い。人のふるまいのひとつだと思って受け止めてほしいです。