夏目漱石 私の個人主義を読んで。

【連続投稿1502日目】

 

昨日、「私の個人主義」(夏目漱石 講談社学術文庫)を課題図書とした読書会を開催しました。

1900年(明治33年)から1914年(大正3年)までの間、夏目漱石が行った5つの講演を文字お越しした、講演集となっています。日露戦争前から第一次世界大戦のあたりですね。大正デモクラシーが盛んになってきた時期ともかぶります。

 

夏目漱石といえば、中学高校の教科書や、夏休みの課題図書として読書感想文を書かされるために読んだ本、とのイメージが強い作家です。講演家の側面があったことはこの本を読んで初めて知りました。

 

話が行ったり来たり、本題に入るのに非常に遠回りしますが、本質を鋭く突いていく展開が引き込まれます。

本のタイトルになった、1914年の講演「私の個人主義」。自分自身が進むべき道の鉱脈を掘り当てることを説いています。一方で西洋人がいいことは何でもいいと言って取り入れる風潮を厳しく批判しています。

100年前も今も、日本は何も変わっていないといえるのか、漱石が予見していたのかは何とも言えません。

自分本位であれば、他人も尊重すること、権力には義務がついて回る。と述べたにもかかわらず、その後全体主義になっていった歴史を見ていると、どうも穏やかではいられません。

少なくとも、傾聴力が半端ないと自称している自分ですので、自分本位を目指すなら他人をも尊重する姿勢だけは、崩さないようにしようと思いました。