8月17日、占守島にソ連軍が上陸した事実。

【連続投稿515日目】

 

昨日、満州からの引き上げに関する本を紹介しました。8月15日で戦争が終わったと思われていますが、引き上げ行為そのものもある意味戦争だとお話ししました。

ところが実際に8月17日に交戦があった事実にも目を向けたいものです。

 

8月17日深夜、最北の日本領だった千島列島の占守島へ、カムチャツカ半島からソ連軍が来襲。3日間にわたり戦闘が行われました。

 

その経緯は「8月17日、ソ連軍上陸す」(大野芳 新潮文庫 2008年)に詳しく書かれています。ソ連ポツダム宣言を受諾した日本に対して、日本の領土を占拠しアメリカに対する戦後処理を有利に進めようとしたため、占守島を経由して北海道占領を考えていたようです。

 

占守島を守っていた旧日本軍第91師団は、満州から引き抜かれてきた戦車部隊を中心に精鋭ぞろいだったようです。戦闘開始後優位に立ちますが、なによりも「勝ってはいけない」戦いでした。実際に、8月23日に停戦合意が結ばれたあと、戦闘員の多くはシベリアに送られたそうです。

 

ポツダム宣言受諾後の戦闘に対して果たして旧日本軍が戦ってよかったのかという是非はあるかもしれません。それも含めてもし自分が現場のリーダーだったらどういう判断を下すのか、そうした視点で読んでみても面白い本です。

 

このテーマを題材にした小説が「終わらざる夏」(浅田次郎 集英社文庫 2013年)です。こちらはフィクションですが、占守島の戦いに至るまでを一市民が徴兵されて死んでいくまで壮大に描いています。

 

是非合わせてお読みいただき、「終戦後」の戦争について事実として知って欲しいと思います。