塩野七生が語ったコロナ禍のリーダー

【連続投稿655日目】

 

2021年1月4日(月)のNHKニュースウォッチ9で、作家の塩野七生がインタビューに答えていました。

塩野七生は、「ローマ人の物語」、ベネチアの栄枯盛衰を描いた「海の都の物語」、「ギリシャ人の物語」「十字軍物語」などなど、古代から中世までの地中海世界を切り取って、政治、経済、文化の観点から描いた、私が大好きな作家です。

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インタビューから気になった言葉を抜粋します。

・コロナ禍において、どの国のリーダーも対応が全然ダメだった。自分が責任を取る、その代わりこれをやるという指揮系統が一本化できなかった。誰に責任があるかわからない状態。決断できず説明責任が果たせていない

 
・国民は恐怖にかられる、明日どうなるかわからない状況。そういう時に、国民にお願いされても困る。お願いするのは一種の責任転嫁。自分が責任を取らないというのは政治家ではない
 
・中世、栄華を誇ったベネチアは交易で成り立っていた。ペストが流行しても他の中世都市のようにロックダウンはできなかった。疫病が上陸しないよう徹底して隔離政策を取った。症状が疑われるだけで、湾内のひとつの島に設置した隔離病棟に40日間隔離した。100%安全ということはできないが、隔離を徹底することで市民生活を守った。
 
日本人は100%信仰を捨てたらよい。100%安全でなければいけない、100%民に寄り添わなきゃいけない、ということはない。民意に寄り添うことばかり考えてロックダウンを小刻みに繰り返してもダメ。
 
・我々は上に行くのにエスカレーターで上がるのが当然だと思っていた。しかし階段で登っていると考えれば、踊り場がある。踊り場は息を整えるところ。今のコロナ禍は踊り場にいると思えばいい。
 
・16世紀ベネチアの周囲はトルコ帝国、神聖ローマ帝国、フランス、スペインなど大国に囲まれていた。それでも交易の国なので、価値観異なっても国を開き続けた。バランスを取るのがうまかった。安全保障というのは一国だけに頼るのは危ない。
 
・強圧的な政策は一時的には成功するかもしれないが長くは続かない。人間性に反するから。自由を失ってはいけない。
 
・日本人は、減点主義。自由は失敗してもいいということ。失敗が許されないのはもう自由がないということ。どこの国でも政体が違っても自由があれば上へ向かう、踊り場から失敗を恐れない生き方で上へ行ける。

 

久々に聞いた塩野節。改めて有事に直面したリーダーとは何か、問いかけています。

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