支配されることを積極的に望んでいませんか?

【連続投稿1628日目】

 

夏目漱石の講演「私の個人主義」。「自己本位」をキーワードにして、自分自身が進むべき道の鉱脈を掘り当てることを説いています。一方で西洋人がやっていることは何でも良いと思って取り入れる風潮を厳しく批判しています。脱亜入欧の時代、西欧に追いつけと必死に背伸びしていた当時の日本にあって、西欧人がやっていることをそのまま受け入れる姿勢にくぎを刺しています。

 

しかし、と思わざるを得ません。100年前も今も、日本は何も変わっていない。いまだに欧米が良いものを、無批判で受けいれていないでしょうか。「何も考えずに支配を受け入れる方が楽」だと思い込んでいないでしょうか。これは、哲学者・歴史家のミシェル・フーコーが主張した「社会の脱構築」に通じるものがあります。支配を受け入れている我々は、実はただ受け身なのではなく、むしろ支配されることを積極的に望んでしまうような構造がある、ということです。思い当たることありませんか?