ボルネオ島のプナン族から考える。

【連続投稿1537日目】

 

「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと」(奥野克巳著 亜紀書房 2018年)を課題図書として読書会を実施しました。

 

人類学者の著者が1年間、帰国後は定期的に半年間ボルネオ島の狩猟民プナン族と暮らして考えたことを本にまとめています。

 

タイトルの通り、ありがとうやごめんなさいといった感覚がない。そもそも時間の概念すらもない。食べるためだけに生きている。採った獲物はみんなで平等に分け与える。

 

章の初めには哲学者の言葉、主にニーチェですが、が掲載されています。人間本来の生活、哲学を実際に生活に落とし込んだらこういう生活ではないか、そのようなメッセージが込められているように感じました。

 

同じ時間、まったく別の感覚で生活している人がいる。そうした人たちの生きざまを見ると、当たり前だと思っている今の生活が、本当に当たり前なのかわからなくなってきます。そもそも時間とは何か。生きるとは何か。死とはなにか。名前とは。所有とは。贈与とは。子育てとは。性とは。教育とは。

 

当然のように考えている、こうした概念が、「本当にそうなんですか?実のところどうなんですか?」と間髪入れずに問いかけてくる。そんな本です。

 

様々なテーマが盛り込まれているのでとても一読しただけでは消化しきれません。こんな生活をしている人もいるんだね、で終わっては非常にもったいない本。むしろ哲学書として読んだ方が良い。

 

そんな感想を持ちました。